ヴァイオリン演奏における3種類のタテとヨコ

 

① 音楽を表現する上で使うタテとヨコ

 主に指揮などで表す場合が多いと思いますが、音楽が広がっていく場合、腕をヨコに大きく広げて表現されることがあります。そのため朗々と歌って演奏する場合などにヨコに目一杯表現する感じに使ったりします。

 テンポが勝手に遅くなってテンポがもたれる・間延びすること、逆に速くなって詰まる・転ぶ、音楽を進める、攻めるときなどの時間軸を表すことがヨコ幅で表すことがありますね。

 また音量の変化はタテに広げると大きく表現され、小さくまとめたいときにはタテ幅はあまり広げないで表現されます。

 

② 合奏をするときのタテとヨコ

 合奏=複数人で演奏するときにいうタテは、テンポやリズムなど時間の流れ(タイミング)、そして呼吸を合わせるときに使用することがあります。例)タテ(線)を合わせて(揃えて)弾くなど。ヴァイオリンの場合は弓の返しやピッツィカートのタイミングなどの音の発音のタイミング、複合リズムの正確性、フレーズの入りや切りなどで使う言い方です。

 一方でヨコを合わるという表現は隣の人と音程、ハーモニーを合わせるということを表します。

ヨコはタテほど使わない言い方かもしれませんが、ヨコ合わせてというのはハーモニーを合わせるということと認識しておいてください。自分の音と他の人の音をしっかり聞いて複数人で1つの音として演奏できることが理想ですね。

 和音は縦に重なっているし、音の長さは横に長いほうが長い音符になるので、譜面上のタテとヨコは逆なので注意ですが、縦線は小節線や複縦線、横線は五線の高さを表すことからタテ・ヨコ合わせてという表現になったのかもしれません。

 

③ ヴァイオリン演奏技術(表現)のタテとヨコ

 演奏技術におけるタテとヨコは、「タテにハッキリ(マルカートやスタッカート)」、「ヨコに流れて(テヌートやレガート、ポルタート)」など、①の表現をするために使う奏法のことを表します。

 具体的な奏法としては、ヨコ弾き=腕を横に動かして弾く場合、弓が弦から離れないで弾く奏法(On)で弾くとテヌートやレガートの奏法になります。

 そして、タテ弾き=弦から離れ、弦に対して角度を付けて弾くことにより弓を跳ばして弾くことをタテに弾くといいます。表記としては主にスタッカート、くさびで書かれます。

 もちろんどちらかというものではなく、ナナメが多いです。ヨコ目のスタッカートもあれば、タテ目のスラーもありますね。アクセントもヨコに速い弓がいいアクセントと、タテにハッキリ弾くアクセントもあります。

 その曲の作曲者(時代)、曲の雰囲気、曲想に合わせた奏法選びができるようになると、音楽の表現の幅ができていいですね。

 

まとめ

 私の使う3種類のタテ・ヨコ表現をまとめてみましたが、ヴァイオリンを弾く・教える上ではタテ弾きの奏法、合奏指導ではタテを合わせて、音楽表現においてもっと小さく、大きくと腕を上下に動かす、もっと歌ってと横に動かす、もっと明確なリズムでと小刻みに動かすなどで使用していることがあります。

 

 一応私は使わない表現ですが、ほかに縦ノリと横ノリという表現もあります。縦ノリはノリのいい曲(テンポ感やリズム的な)、それに対して横ノリはバラードなどゆったりした曲のことを言う場合もあるようです。